2012年02月20日

育児休業

労働者は,申し出ることにより,子が1歳に達するまでの間,育児のために仕事を休業をすることができます。
育児休業の対象者は,「原則として満1歳未満の子を養育する労働者」であり,女性だけでなく男性も取得できます。
また,育児をする子どもは,法律上の親子関係があればよく,養子を養育している場合も含まれます。
育児休業は,要件さえ満たしていれば,会社に規定がなくても取得できます(パートやアルバイトの人も取得可)。要件は以下の通りです。
@同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
A子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること。

休業期間は,原則として1人の子につき1回であり,子が出生した日から子が1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で労働者が申し出た期間です。
また,以下のいずれかの事情がある場合には,子が1歳6カ月になるまで育児休業ができます。
@保育所入所を希望しているが,入所できない場合。
A子の養育を行っている配偶者(もう一人の親)であって,1歳以降に子を養育する予定であった者が死亡,負傷,疾病等により子を養育することが困難になった場合。

育児休業取得の手続としては,まず,申出に係る子の氏名・生年月日・労働者との続柄・休業開始予定日及び休業終了予定日を明らかにした書面を作成します。
その上で,1歳までの育児休業については希望する休業開始予定日の1ヶ月以上前までに,事業主に申し出ます。
1歳から1歳6カ月までの育児休業については,休業開始予定日(1歳の誕生日)から希望通り休業するには,その2週間前までに申し出ます。
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2012年02月22日

育児休業期間中の待遇

前回の続きで,今回は育児休業期間の待遇についてです。
使用者は,あらかじめ,育児休業期間中の賃金や,休業後の労働条件などについて定めておかなければなりません(法律上は育児休業期間中の給与を保障する規定はありませんので,支給されないか減額となるのが通常です)。

また,会社からの給与とは別に,雇用保険から支払われる「育児休業給付金制度」というものがあります。
支給対象者は,子が1歳になるまでの育児休業取得者で,休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算12ヶ月以上あることが要件です。その上で,
@育児休業期間中の各1ヶ月ごとに,休業開始前の1ヶ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
A休業している日数が各支給対象期間ごとに20日以上あること(ただし,休業終了日が含まれる支給対象期間は,休業日が1日でもあれば20日以上である必要はありません)
という条件を満たした場合に支給されます。

給付額は,支給対象期間1ヶ月分=賃金日額×支給日数×50%(本来は40%のところ暫定措置で50%へ引き上げ)です。
どういうことかと言いますと,まず「支給日数」は,休業終了日の属する対象期間を除いて30日と決まっています。
「賃金日額」とは,育児休業開始前の賃金6ヶ月分÷180で計算した金額です。
これに支給日数の30日をかけた賃金月額が430,200円を超える場合は,賃金月額=430,200円となります。
つまり,1支給期間の育児休業給付金の上限は,430,200円×50%=で215,100円となります。
また,賃金月額が69,900円を下回る場合は,賃金月額は69,900円となり,給付金額は34,950円となります(賃金月額の下限は毎年8月に変更されます)。
なお,育児休業期間中の1ヶ月の給与と「賃金日額×支給日数×50%」の合計が,「賃金日額×支給日数×80%」を超える場合は,この超えた分については減額して支給されます。

ちなみに,社会保険については,子が満1歳になるまでの育児休業期間中は,労働者負担分,使用者分ともに免除されます。
住民税については,最長1年,納税を猶予する制度があります。
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2012年02月24日

介護休業

育児休業とは別に,介護休業という制度があります。
これは,労働者が申し出ることにより,要介護状態にある対象家族1人につき,常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業を取得することができる制度です。
休業期間は,対象家族1人につき通算して93日までで,その期間内であれば何度でも取得できます。
取得対象者は,要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者です。
「要介護状態」とは,負傷,疾病又は身体上もしくは精神上の障害により,2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。
「対象家族」とは,配偶者,父母,子,配偶者の父母,労働者が同居しかつ扶養している祖父母,兄弟姉妹,孫です。

介護休業取得の要件としては,
@同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること。
A休業開始日から93日を経過する日以降も引き続き雇用されることが見込まれること。
で,休業開始予定日の2週間以上前までに,事業主に申し出なくてはなりません。
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2012年02月28日

育児のための就労支援制度(子が3歳未満の場合に利用できる制度)

事業主は,労働者が働きながら育児しやすいように,3歳未満の子を養育する労働者については,本人が希望すれば利用できる「短時間勤務制度」を設けなければなりません。
なお,短時間勤務制度は,1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとする必要があります。

対象者は,以下のいずれにも該当する男女労働者です。
@3歳未満の子を養育する労働者で,短時間勤務をする期間に育児休業をしていないこと
A日々雇用される従業員でないこと
B1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
C労使協定により適用除外とされた労働者でないこと

Cの適用除外者についてですが,以下の従業員は,労使協定により適用除外とする場合があります。
ア)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
イ)1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
ウ)業務の性質又は業務の実施体制に照らして,短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者

このうち,ウ)に該当する労働者を適用除外とした場合,事業主は代替措置として,以下のいずれかの措置を講じなければなりません。
a)育児休業に関する制度に準ずる措置
b)フレックスタイム制度
c)始業・就業時間の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤の制度)
d)労働者の3歳に満たない子に係る保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与

また,3歳未満の子を養育する労働者が申し出た場合,「所定外労働の免除」も認められています。
対象となるのは,3歳未満の子を養育する男女労働者(日々雇用者を除く)で,勤続1年未満又は週の労働日数が2日以下の労働者については,労使協定により対象とならないこともあります。
所定外労働免除の申出は,1回につき,1ヶ月以上1年未満の期間内で,開始予定日の1ヶ月前までにしなくてはなりません。
なお,この申出は何度でもすることができます。
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2012年03月01日

育児のための就労支援制度(子が小学校就学前までの場合に利用できる制度T)

小学校就学前までの子を養育する労働者は,事業主に申し出ることにより,病気や怪我をした子の看護を行うためや,子に予防接種または健康診断を受けさせるために「子の看護休暇」を取得することができます。
取得可能日数は,子が1人であれば年に5日まで,2人以上であれば年に10日までです。
対象となるのは,小学校就学前までの子を養育する全ての男女労働者(日々雇用者を除く)で,勤続年数6ヶ月未満の労働者と週の所定労働日数が2日以下の労働者については,労使協定がある場合には対象となりません。
子の看護休暇の利用については,緊急を要することが多いことから,当日の電話等の口頭での申出も認められます。

この他に,小学校就学前までの子を養育する労働者は,事業主に申し出ることにより,「法定時間外労働の制限」を受けることができます。
労働者がこれを申し出た場合,事業主は,1ヶ月24時間,1年150時間を超える時間外労働をさせてはなりません。
対象となるのは,小学校就学前の子を養育する全ての男女労働者(日々雇用者を除く)で,勤続年数1年未満の労働者と所定労働日数が週2日以下の労働者については対象外です。
法定時間外労働の制限は,1回につき,1ヶ月以上1年以内の期間内で取得可能であり,申出は開始予定日の1ヶ月前までにする必要があります。
なお,この申出は,何回でもすることができます。
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2012年03月05日

育児のための就労支援制度(子が小学校就学前までの場合に利用できる制度U)

小学校就学前までの子を養育する労働者は,「法定時間外労働の制限」の他に,事業主に申し出ることにより,「深夜業の制限」も受けることができます。
労働者がこれを申し出た場合は,事業主は,深夜(午後10時〜午前5時)において労働させてはなりません。
対象となるのは,小学校就学前の子を養育する全ての男女労働者で,以下の労働者は対象外となります。
@日々雇用者
A勤続1年未満の労働者
B所定労働日数が週2日以下の労働者
C保育ができる同居家族がいる労働者
D所定労働時間の全部が深夜にある労働者

Cの保育ができる同居の家族とは,16歳以上であって,
ア)深夜に就業していないこと(深夜の就業日数が1ヶ月3日以内の者を含む)
イ)負傷・疾病又は心身の障害により保育が困難でないこと
ウ)産前産後でないこと
のいずれにも該当する者をいいます。
深夜業の制限は,1回に付き,1ヶ月以上6ヶ月以内の期間内で取得可能であり,申出は開始予定日の1ヶ月前までにする必要があります。
なお,この申出は,何回でもすることができます。

その他の両立支援措置(努力義務)として,事業主は,小学校就学以前の子を養育する労働者については,@フレックスタイム制度A時差出勤の制度B事業所内保育施設の設置・運営その他これに準ずる便宜の供与,のいずれかを講ずるよう努めなければならないとされています。
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2012年03月07日

育児のための就労支援制度(その他)

事業主は,労働者の転勤について,就業場所の変更により育児が困難となる場合には,その状況に配慮した上で行わなければなりません。
例えば,本人の意向を斟酌したり,就業場所を変更する場合は,子の養育の代替手段の有無を確認することなどが挙げられます。

また,当然ですが,育児休業やこれらの就労支援制度を利用したことを理由に,事業者が労働者に対して不利益な取り扱いをすることは禁じられています。不利益な取り扱いとは,以下の通りです。
・解雇すること
・期間を定めて雇用される者について,契約の更新をしないこと
・あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に,当該回数を引き下げること
・退職,又は正社員を非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うこと
・自宅待機を命ずること
・降格させること
・減給をし,又は賞与等において不利益な算定を行うこと
・不利益な配置の変更を行うこと
・就業環境を害すること

もしこのような扱いを受けた場合は,不利益取り扱いの無効や損害賠償請求の裁判を提起できるほか,都道府県等の行政指導を求めることもできます。
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2012年03月09日

介護のための就労支援制度T

育児に関する就労支援制度と同様に,働きながら介護をする労働者に対しても就労支援制度があります。
まず「短時間勤務制度」についてですが,対象となるのは要介護状態にある対象家族を介護する全ての男女労働者(日々雇用者を除く)で,勤続1年未満の労働者と週の所定労働日数が2日以下の労働者は,労使協定がある場合には対象となりません。
事業主はこれらの労働者について,次のいずれかの措置を講ずる義務があります。
@短時間勤務制度
Aフレックスタイム制度
B始業・終業時間の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤の制度)
C労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度

ただし@については,育児のための短時間勤務制度のように,1日の所定労働時間を6時間までとしなければならない規定はありません。
事業主は上記の制度について,要介護状態にある対象家族1人につき,介護休業の日数と合計して少なくとも93日間は利用できるようにする必要があります。

また,育児のための就労支援制度には「所定外労働の免除」がありますが,介護のための就労支援制度にこの制度はありません。
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2012年03月13日

介護のための就労支援制度U

要介護状態にある対象家族の介護をする労働者は,事業主に申し出ることにより,介護その他の世話を行うために「介護休暇」を取得することができます。
(その他の世話とは,対象家族の通院等の付き添い,対象家族が介護サービスを受けるために必要な手続の代行,その他の対象家族に必要な世話をいいます。)
取得可能日数は,対象家族が1人であれば年に5日まで,2人以上であれば年に10日までです。
対象となるのは,対象家族を介護する全ての男女労働者(日々雇用者を除く)で,勤続年数6ヶ月未満の労働者と,週の所定労働日数が2日以下の労働者については,労使協定がある場合には対象となりません。
介護休暇の利用についても,子の看護休暇と同様に緊急を要することが多いことから,当日の電話等の口頭での申出も認められます。

この他に,要介護状態にある対象家族の介護をする労働者は,「法定時間外労働の制限」「深夜業の制限」「転勤に対する配慮」「不利益取扱いの禁止」についても,育児のための就労支援制度と同じ条件・同じ内容で定められています。
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2012年04月13日

産前産後休業

育児休業の他に,妊娠中および出産後についても休業制度があります。
まず産前については,6週間以内(多胎妊娠については14週間以内)に出産する予定の労働者本人が休業の請求をした場合には,使用者はその者に就業させてはなりません。
また産後については,産後8週間を経過しない労働者の就労は禁止されています。ただし,産後6週間を経過して本人が請求した場合に,医師が問題ないと判断した場合に限り,就労させることは認められています。
つまり,産前については本人の請求がなければ休業させなくても構いませんが,産後6週間の就業禁止は強制ということになります。
もし産後6週間以内の労働者を働かせれば,使用者は6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金を科せられます。
なお,ここで言う「出産」とは,「妊娠4ヶ月以上経過した場合の分娩」のことを指し,妊娠4ヶ月以降の流産・死産・人工中絶なども含まれます。

ここで,具体的な産前産後休業の取り方ですが,例えば,産前に6週間休業していて出産予定日が1週間遅れてしまったとします。この場合はどうなるかと言うと,その延びた分も産前休業に含まれます
だからと言って,産後8週間の休業から産前休業の延びた分を差し引いたりすることはできず,産後8週間の休業はそのまま確保されます
ですから,「産前産後計14週」などと規定されている就業規則であっても,産前6週・産後8週のそれぞれの休業は認められますので覚えておきましょう。
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