2012年02月15日

民事保全申立の準備@

民事保全は,将来の(本案で確定させる)権利の保全を図る暫定的な手続ですひらめき
この保全すべき権利を「被保全権利(ひほぜんけんり)」といいまするんるん

まず,どのような方法をとるか検討します手(グー)民事保全の種類参照。)
※債務者の財産を仮差押する場合は,強制執行のときと同じく,債権者は自分で仮差押の対象になる債務者の財産を捜さなければなりませんし,財産価値についての十分な調査も行った上で検討する必要がありますぴかぴか(新しい)

どのような申立てをするのか決まったら,申立に必要なものを揃えます手(パー)

かわいい疎明資料・・・被保全権利が正当であるということを,仮に認めてもらうための資料です。
かわいい資格証明書・・・申立の当事者が法人の場合に必要です。法務局で発行してもらいます。
かわいい委任状・・・代理人が申立をする場合に必要です。
かわいい不動産登記事項証明書固定資産評価証明書・・・目的物が不動産家の場合に必要です。
かわいいその他・・・事案によって必要なものが変わりますので,裁判所ビルに確認をしましょうグッド(上向き矢印)
かわいいお金有料・・・立担保や不動産登記費用が必要になりますexclamation

必要なものが揃ったら,次は,申立書を作成しましょうsoon
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2012年02月17日

民事保全申立の準備A

民事保全申立の準備@で必要なものが揃ったら,申立書を作成しましょうグッド(上向き矢印)

民事保全の手続は,被保全権利を仮に認める手続と,それを基に仮の強制執行にも似た手続なので,
民事保全の申立書には,「申立の趣旨」の記載とともに,「申立の理由」として1.被保全権利の説明と,2.保全の必要性を記載しますペン
また,強制執行の申立書のように,申立書の別紙として,@当事者目録,A請求債権目録,B物件目録や仮差押債権目録なども作成します手(パー)
※裁判所の出す「命令」の別紙目録としても使えるようにするためですー(長音記号2)

かわいい例として,東京地方裁判所の書式を挙げます。
 ・不動産の仮差押え(不動産仮差押命令申立書
 ・動産の仮差押え(動産仮差押命令申立書
 ・債務者が第三債務者に対して持っている債権の仮差押え(債権仮差押命令申立書)※第三債務者に対する陳述催告の申立書はコチラ
 ・不動産の占有移転禁止仮処分命令申立書

申立をする裁判所は,本案の管轄裁判所または仮に差し押さえるべき物もしくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所ですひらめき

民事保全事件の管轄は,専属管轄です手(パー)
申立手数料は,申立事件1件につき2000円です有料※申立書に収入印紙を貼付することで支払います決定
※予納郵券等は,裁判所によって扱いが異なるため,事前に確認しましょう電話
posted by テッキー at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月21日

担保の提供【供託】

民事保全の申立がなされると,「平成24年(ヨ)第○○号(地方裁判所の場合)」などの事件番号がふられ,担保の額と立担保期間が決められます手(パー)

今回は,担保を供託(保証供託)によって立てる手続についてのハナシでするんるん
(供託は,有価証券でもできますが,今回は現金を供託所に持ち込む方法についておハナシしますグッド(上向き矢印)

保全事件の申立をした裁判所の所在地を管轄する供託所に供託しますひらめき

1供託所に備え付けてある「供託書(保証供託用)」(機械で読み取れるようOCR用紙になっています。)に記載します。※事件番号など,間違わないよう十分に注意しましょうexclamation
 【記載例】
  ・仮差押の供託書
  ・仮処分の供託書
 ちなみに,供託書に記載ミスをしても,供託金額以外は修正テープ等で修正したりしても,機械で読み取れれば問題ありませんわーい(嬉しい顔)

2添付書類
  かわいい供託者が法人の場合は,登記事項証明書(代表者の確認のため。)・・・簡易確認ができる場合は不要です。
  かわいい代理人が供託する場合は,委任状・・・供託金の取戻の時にも委任状が必要になりますが,委任者が法人の場合,供託の際に「確認申請」をして委任者の印影を供託所で確認してもらっておくと,取戻の時に印鑑証明書の添付を省略することができます手(チョキ)
  ※「確認申請」は,委任状の余白に,「確認を請求します。代理人○○」という旨を記載して,供託書に確認済み印を押してもらいます。そうすることで,この委任状が,取戻の際に必要な印鑑証明書の代わりとして使用することができるのですぴかぴか(新しい)

3供託書の窓口で,供託書らと一緒に担保金額(現金有料)を納付します。
 ⇒しばらく待つと,供託官が供託金の受領を証明した供託書をくれます。
 
posted by テッキー at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月23日

担保の提供【供託A】

担保を供託すると,裁判所に供託書(コピー)を提出して供託したことを報告し,保全命令を出してもらいますが,
供託書に記載した内容(例えば事件番号など)が間違っていた場合,裁判所は供託書を受理しないため,保全命令も発令されませんexclamation

すぐに正しい供託書を再度,裁判所に提出しなければ,保全命令が出るまでにどんどん時間が経ってしまいますがく〜(落胆した顔)あせあせ(飛び散る汗)

当日であれば,以下1の不受理証明書を取得して,すぐに供託所にかけあうことで訂正ができるかもしれませんが,供託書の訂正ができない場合は,一度,供託金の払い渡しを受けて,改めて供託し直さなければなりませんバッド(下向き矢印)

供託書の記載ミスをしないに越したことはありませんが,誰にでもミスはつきものですたらーっ(汗)
記載ミスをして,裁判所に受理してもらえなかったときのために,念のため,供託金の払い渡し方法を知っておきましょう手(パー)

1裁判所に,「勘違いで記載ミスをしてしまったので,受理されなかった。」という証明書(不受理証明書)をもらう。
  ※裁判所に,「不受理証明申請書(別紙として供託書のコピーをつけます。)」を正副2通提出し,副本に証明印が押された「不受理証明書」をもらいます。正本には,受書をつけておきます。証明料150円が必要です有料

2供託所に行き,錯誤による供託金の払い渡しを受ける。
 【必要書類】
  ・供託金払渡請求書(供託所備え付けの用紙です。該当部分を記入します。)
  ・1で受け取った不受理証明書(供託が錯誤であることを証する書面になります。)
  ・印鑑証明書(ただし,請求者が個人で本人確認書類を提示した場合,供託時に「確認申請」した印鑑で供託金払渡請求をする場合は省略できます。)
  ・資格証明書(法人の場合。ただし,簡易確認もできます。)
  ・委任状(代理人がする場合。)

次項有 こうして一度払渡を受けて,再度,供託し直す必要があるためあせあせ(飛び散る汗)供託書の記載は,絶対に間違わないように注意しましょうexclamation×2
posted by テッキー at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月27日

担保の提供【支払保証委託契約(ボンド)】

担保の提供には,供託の方法のほかに,支払保証委託契約(通称:ボンドと呼ばれます。)という方法がありますひらめき

かわいい支払保証委託契約(ボンド)は,次の内容になっていることが必要です。
 @銀行等の金融機関は,立担保の金額を限度として,担保義務者のために,担保権利者(民事保全の債務者)に損害賠償請求権の債務名義等の金額を支払うという内容。
 A担保取消決定が確定した時などは,契約の効力が消滅するという内容。
 B契約の変更又は解除をすることができないとする内容。
 C担保権利者の申出があったときは,銀行等は,契約が締結されたことを証する文書を担保権利者に交付するものであるとする内容。

以下は手順でするんるん
1まず,支払保証委託契約(ボンド)によって担保を立てることを,裁判所に許可してもらいます。
 ⇒裁判所に,許可の申立をします。裁判所は,担保を立てるべきことを命じた裁判所です。
 ⇒裁判所から「許可決定」の謄本を受領します。

2銀行銀行等と支払保証委託契約(ボンド)を締結します。(※通常,相当額の定期預金等が必要になります。)
 ⇒1の許可決定の謄本をつけて,銀行等の金融機関に支払保証委託契約の申込をします。申込をする金融機関に管轄等はありませんので,都合のよい金融機関を選ぶのがよいでしょう。
 ⇒金融機関から「支払保証委託契約締結証明書」を受領します。

3裁判所に,2で受け取った支払保証委託契約締結証明書を提出して,担保を立てたことを報告します。
 ⇒保全命令用の目録等が必要な場合は,一緒に提出します。
 ⇒保全命令が発令されます。
決定
posted by テッキー at 15:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月29日

担保の提供【第三者による担保提供】

担保の提供は,債権者の代わりに,裁判所の許可を得た第三者がすることもできます手(パー)

裁判所が許可する第三者は,概ね,債権者の代理人・親族・日本司法支援センター(法テラス)などでするんるん


1第三者が,裁判所に,「自分が債権者に代わって担保を提供することを許可してほしい。」旨の上申をします。
 @供託の場合・・・代理人以外の者が第三者になる場合は,印鑑証明書の添付が必要です。法人であれば,登記事項証明書も添付します。
 A支払保証委託契約の場合・・・扶助事件で,法テラスが第三者として銀行等と契約をすることが多いです。この場合は,上申書のほかに,支払保証委託契約による立担保の許可申請,法テラス地方事務所長の代理権限証書とこれに関する法テラスの規定を添付します。

2裁判所の許可が下りたら,第三者が担保提供をします。
 @供託の場合・・・供託書の記載は,「供託者」=第三者,「備考欄」に債権者の住所を記載します。
 A支払保証委託契約の場合・・・法テラスから「支払保証委託契約締結証明書」を受領します。


かわいい第三者が担保提供をした場合は,この第三者が担保取消の申立をします。
posted by テッキー at 16:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月02日

債務者側の救済【解放金】

民事保全は,債権者が,自己の権利を保全するために行いますが,
債務者側にとっては,債権者の確定してもいない権利のために,保全命令の執行を受け,本案で決着がつくまでそのまま・・・というのは酷すぎますもうやだ〜(悲しい顔)

そこで,債務者側にも救済措置がありますひらめき

債権者の権利(被保全権利)が金銭債権の場合,解放金供託することにより,仮執行が取り消されまするんるん

解放金額は,仮差押命令や仮処分命令の際に,一緒に定められます手(パー)
※仮差押命令では,必ず定められますが,仮処分命令では,必ず定められるわけではありません。

例えば,請求債権が100万円の仮差押命令を基に,不動産家などの仮差押がなされた場合,
仮差押命令に,「債務者は,前記(目録につけた)請求債権額を供託するときは,この決定の執行の停止または執行処分の取消を求めることができる。」と解放金が定められますグッド(上向き矢印)

soon 債務者は,仮差押命令を出した裁判所の管轄区域内の供託所に,解放金100万円を供託します。

soon 債務者は,解放金を供託したことを証明するために供託書(写し)を添付して,仮差押の執行取消申立書を裁判所に提出します。
   (印紙や郵券,目録等が必要になる場合があります。)

soon 執行取消決定が出ます決定
   ※不動産仮差押は,仮差押の登記が抹消されます。
   ※動産仮差押の場合は,執行取消決定正本を,執行官に提出して執行解放を申し立てなければなりません。


かわいいちなみに,解放金は金銭を供託するしか方法はなく,有価証券での供託や支払保証委託契約を利用することはできません手(グー)



posted by テッキー at 14:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月06日

債務者側の救済【起訴命令】

保全命令が出てからも,債権者がいつまで経っても本案の訴訟提起をしない場合,債務者は,その間もずっと仮差押や仮処分を受けた状態のままということになりますふらふら
債務者は,確定もしていない債権者の権利の保全のために,不利益な状態(仮執行を受けている)を強いられているので,『早く本案で最終的な解決を図りたいexclamation』と思うでしょうグッド(上向き矢印)

こういう場合に,債務者は,起訴命令(きそめいれい)という方法がありますひらめき

かわいい裁判所から債権者に対して,「一定期間(通常,1ヶ月程度)内に,本案を訴訟提起して,提起したことを証する書面を提出しなさいexclamation」という命令を出してもらい,その期間に訴訟提起及びその証拠書類の提出がなされなければ,保全命令が取り消されるという制度です。(保全命令取消の申立は必要です。)

手続は,
1債務者は,保全命令を発した裁判所に,起訴命令の申立をします。
  ※印紙は不要です。郵券は必要です。
2起訴命令が出て,債権者に送達されます。
・・・一定期間内に本案の訴訟提起がなされなければ,
3債務者は,起訴命令を発した裁判所に,保全命令取消の申立をします。
  ※印紙は500円です。郵券や目録等も必要です。
4保全命令が取り消されます。
  ※動産の仮差押の場合など,執行解放の申立が必要な場合もあります。

位置情報起訴命令を受け取った債権者としては,指定期限までに本案の訴訟提起を行い,それを証する書面を裁判所に提出しますが,この後に本案の訴えを取り下げたり却下された場合は,本案の訴訟提起を証する書面の提出が最初からされなかったことになります。
posted by テッキー at 14:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月08日

債務者側の救済【保全異議】

債務者は,そもそもの保全命令に不服がある場合は,保全異議を申し立てることができますひらめき

かわいい保全異議の申立てについて,裁判所は,保全命令の認可・変更・取消などの「決定」を出します。(債務者としては,保全命令の取消を求めることが多いでしょう。)

手続は,
1保全命令を発した裁判所に,保全異議の申立書を提出します。
  ※相手方用の副本も必要です。
かわいい保全命令の取消しの原因となることが明らかな事情がある場合や,保全執行により償うことができない損害を生ずるおそれがある場合は,保全異議の申立てについての決定が出る前に,保全執行の停止などの処置を申立てることもできます。

2通常の訴訟のように,口頭弁論や審尋の期日が開かれ,裁判所は,当事者双方の主張を聞きます。

3裁判所は,『保全異議の申立てについての決定』をします手(パー)
  ※保全異議の申立てについての決定は,当事者に送達されます。
かわいい 保全命令を取消す決定については,債務者は,担保を立てなければならないこともあります。
posted by テッキー at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

担保を取り戻す@【流れ】

民事保全の申立の際,担保を提供することがありますが,担保を立てておく必要がなくなったら,当然ですが,担保を取り戻します手(パー)
(「担保の行方」もご参照ください。)

soon 次の3ステップで取り戻しまするんるん

1まず,担保取消の申立をします。(東京地裁の書式
  ※立担保の命令を発令した裁判所に申し立てます。
  ※2の「供託(または契約)原因消滅証明」の申請も一緒にしておきます。
  ※代理人が申し立てる場合,保全命令の申立も同じ代理人が行っていたとしても,保全命令から歳月が経っている場合は,再度委任状の提出が必要になることもあります。
 
⇒担保取消決定が出ますひらめき

2担保取消決定が確定すると,供託(または契約)原因消滅証明書を受け取ります。
  ※事前に申請が必要です。印紙は150円です有料

3担保を取り戻します。
  ※供託の場合は,供託原因消滅証明書を基に,供託した供託所で取戻手続きをします。
  ※支払保証委託契約の場合は,契約原因消滅証明書を基に,契約した金融機関で契約終了の手続きをします。

⇒晴れて,担保が解消されます晴れ
posted by テッキー at 14:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 民事保全(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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