2012年01月31日

休む権利

健康に働くためには,業務による疲労やストレスを蓄積しないよう,病気になる前に,リフレッシュするために休むことが必要です。
そのために労働者が自らできるのは,年次有給休暇の取得です。
年次有給休暇は自由に取得できますので,自分が休みたい日を前もって会社に報告しましょう。
また,使用者においては,労働者に対して,業務遂行により心身の健康を損なうことがないよう,注意しなければなりません(人員増・仕事の期限延長・担当業務の変更など)。

みなさんの中には,毎日残業でくたくたになっている方もいらっしゃるかもしれませんが,そもそも労働者は,法定労働時間以上に働く義務はありません。
36協定による残業や休日出勤は,「臨時的・一時的な例外」であって,労働基準法では1日8時間,週40時間の労働を原則としています。
また,36協定で定める延長時間は「月45時間かつ年360時間」を上限としており,つまり年2,440時間(40時間×52週+360時間)以上の労働はあり得ないのです(みなし時間制は除く)。
もし,これを超えていれば立派な労働基準法違反ですので,ただちに労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。
労働時間に関する権利を理解し,これらを適切に行使することが健康確保,過労死などの予防につながります。
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2012年02月02日

休憩

休憩とは,「労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間」,「労働者が労働時間の中途において完全に仕事から離れることを保障されている時間」のことをいいます。
ですから,いわゆる手待時間や,夜間の警備などにおける仮眠時間は,休憩にあたらないとされています。

労働基準法では,実労働時間が6時間を超える場合は,少なくとも45分,8時間を超える場合は1時間の休憩を付与しなければならないとしています。
例えば,所定労働時間7時間,休憩45分とされている労働者について,1時間残業することになった場合は,不足している15分の休憩を付与しなければなりません(ただし,残業時間がどれだけ延びても休憩は1時間でも構わないとされています)。
また,休憩は「労働時間の途中」に付与されなければならず,就業前や終業後に置くことはできません。
さらに,休憩時間は労働者に一斉に与えなければなりません。
しかし,それでは業務に支障が出る職種もあるため,労使協定によって休憩を交代制にする事業場もあります。

もし使用者が,法律で定められた長さの休憩時間を付与しなかったり,休憩時間を労働者の自由に利用させなかった場合は,労働基準法違反となり,6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられます。
また,労働者が所定の休憩時間中に,使用者の指揮命令の下に働いた場合は,その実労働時間に応じた賃金を請求できます。
その労働によって法定労働時間を超えることになれば,もちろん割増賃金の支払対象となります。
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2012年03月15日

労使協定

今回は,このブログの中でもよく出てくる「労使協定」についてです。
労使協定の定義は,「事業場に労働者の過半数を組織する労働組合があるときはその労働組合,過半数を組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者と使用者との書面による協定」です。
少し難しい言い方ですが,つまり「使用者と労働者との約束事」です。
例えば労働基準法では,法定労働時間を超えて労働(残業)させることは禁止していますので,もし違反した場合には,使用者は罰則を受けることになります。
しかし,使用者と労働者の過半数を組織する労働組合,又は労働者の過半数を代表する者との間で,労働基準法36条1項に定める時間外労働に関する労使協定(いわゆる36協定)を締結していれば,使用者は罰則を受けずに時間外労働を命じることができます。

このように労使協定は,労働基準法が最低基準として定めた労働時間についての原則を下回る例外を許容するための方策として認められている制度なので,労使協定を締結するかどうかは労働者本人の全くの自由であり,労働者側に労使協定を締結する義務はありません。
ですから,使用者から労使協定の提案がなされた場合は,その内容・利害損失・不利益の程度などを十分に考慮して判断する必要があります。

なお,労使協定は同じ会社でも勤務形態などが違うこともありますので,事業場ごとに締結しなければなりません。
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2012年03月30日

労使協定の種類

これまでお話してきました労使協定の種類をまとめると,以下のようになります。

@時間外・休日労働
A60時間超時間外労働の代替休暇
B1ヶ月単位の変形労働時間制
C1年単位の変形労働時間制
Dフレックスタイム制
E1週間単位の変形労働時間制
F事業場外労働のみなし労働時間制
G専門職型の裁量労働制
H一斉休憩の適用除外
I社内預金
J賃金控除
K計画年休
L年休の時間単位付与
M年休手当額(標準報酬日額)
N育児休業の適用除外
O介護休業の適用除外
P子の看護休暇の適用除外
Q65歳までの継続雇用制度

この中で,さらに労働基準監督署への届出も必要とされるのは,@・B・C・E・G・Iです。
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2012年04月09日

管理監督者

よく「管理職だから残業代は出ない」という話を聞きますが,そもそも「管理職」とは何なのか?ということについて今日はお話します。
いわゆる「管理職」とは,労働基準法上で言えば「管理監督者」のことを指します。
しかし,社内で「管理職」とよばれる地位に就いていても,労働基準法上の「管理監督者」の条件に当てはまらなければ,管理監督者ということにはなりません。
「管理監督者」の条件は,以下の通りです。
@経営者と一体的な立場で仕事をしている
A出社・退社・勤務時間について厳格な制限を受けていない
Bその地位にふさわしい待遇がなされている

まず@については,労働時間や休憩・休日に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務と責任を有しているかどうか,ということです。Aは,時を選ばず経営上の判断や対応が要請され,労務管理においても一般労働者と異なる立場であるかどうか,で判断します。Bは,その職務の重要性から,定期給与・賞与・その他の待遇について,一般の労働者と比較して相応の待遇がなされていなければなりません。

これらの条件に当てはまっていなければ,社内で「管理職」とされていても,「管理監督者」とは言えませんので,当然に残業手当や休日手当の支払はしなくてはなりません
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2012年04月11日

標準報酬月額

今日は,年次有給休暇の賃金のところでも出てきました「標準報酬月額」についてお話します。
健康保険・厚生年金について,毎月決まった保険料を納めていると思いますが,この保険料の金額を算出するのに必要なのが「標準報酬月額」です。また,年金や傷病手当などの給付額を決定する際にも,この標準報酬月額を元にして計算します。
では,標準報酬月額の求め方ですが,まず7月1日現在で,4月・5月・6月に受け取った給料の平均額=報酬月額を算出します。なお,給料については,各種手当なども含みますが,見舞金などの臨時で受け取るものや,年3回以下の賞与は除外します。
これにより算出した報酬月額を,健康保険法・厚生年金法で定められたそれぞれの表に当てはめ,該当する等級(健康保険は1~47級・厚生年金は1~30級)により標準報酬月額が決定します。これが,その年の9月~翌年の8月までの標準報酬月額ということになります。
「4月~6月に残業すると保険料が高くなるから,しないほうがいい」という話は,このような計算方法だからです。
posted by テッキー at 13:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 労働時間(基礎) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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