2011年12月14日

債権執行【預金の差押え】

債権執行は,金銭執行直接執行の強制執行で,差押える債務者の財産は,債務者が第三債務者に対して持っている債権です手(パー)

『債権者A(自然人)は,債務者B(自然人)に対して,「100万円を支払え!」という確定判決(債務名義)を取得したが,Bは全く支払いをしない。』という事例の場合ひらめき

晴れ今回は,BがC銀行に預金があることが発覚したので,その預金を差押えてみましょうグッド(上向き矢印)
※債権者:A,債務者:B,第三債務者:C銀行。
※代理人が申立てるときは,添付書類に委任状を追加して,当事者目録の記載に代理人の表示を追加します。

1必要書類の収集
 ・執行力ある債務名義の正本(←債務名義に執行文を付与してもらいます。)
 ・債務名義の債務者への送達証明書(←送達証明書を申請して発行してもらいます。)
 ・C銀行の資格証明書(←全部事項証明書や代表者事項証明書などです。)
 
2申立書の作成(⇒東京地方裁判所の申立書書式。以下の書式も東京地方裁判所の書式です。)
 ・第三債務者に対しての陳述催告とは,差押債権の存否や種類,金額,弁済の意思があるかどうかなどを,第三債務者C銀行に問い合わせることです。この陳述催告があると,C銀行は2週間以内に執行裁判所に回答します。
 ・当事者目録(←A,B,C銀行それぞれの住所と氏名を記載します。C銀行の住所は本店の住所を記載しますが,別に,送達場所として差押える支店の住所も記載します。)
 ・請求債権目録(←債務名義と請求債権を記載します。)
 ・差押債権目録(←差押えをする銀行預金を,どの種類の預金をどのような順番で差し押さえるか記載します。)

3申立て
 ・Bの住所地を管轄するD裁判所に申立てます。
 ・申立手数料は,債務名義1件・債務者1人なので,4000円です。収入印紙で納めます。
 ・予納郵券は,各裁判所によって金額や内訳が違うので,都度確認します。
 ・目録の部数も,各裁判所によって違うので,都度確認します。

4差押命令発令(D裁判所が発令し,差押命令を当事者に送達します。)
 →通常,差押命令は,まず第三債務者C銀行に特別送達で送達され,その後,債務者Bに送達します。(BにC銀行預金を差押するとバレてしまうと,BはC銀行の預金を全部引き出して差押を妨害するかもしれないからです。)
 かわいい差押の効力は,第三債務者に送達されたときに発生します。

5取立権の発生
 →差押命令が債務者に送達されてから1週間が過ぎると,債権者に取立権が発生します。

6取立て(競合の差押がない場合。)
 →Aは,直接C銀行と連絡を取り,差押えた金額を回収します手(チョキ)

7取立届の提出
 →取立日,取立金額を記載します。(※全額回収したときは,「取立完了届」を提出します。)
 →全額回収できなかった場合,次の差押等に使うために,債務名義の還付申請をして還付してもらいます手(グー)

以上で,預金の差押手続は終了です決定


次回は,債務者の給与を差し押さえてみましょうるんるん


 
posted by テッキー at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(初級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月16日

債権執行【給与の差押え】

預金の差押えと同じ事例で,今回は債務者の給与(賞与・退職金を含む。)を差し押さえてみましょう晴れ

【事例】 『債権者A(自然人)は,債務者B(自然人)に対して,「100万円を支払え!」という確定判決(債務名義)を取得したが,Bは全く支払いをしない。』という場合ひらめき
※債権者:A,債務者:B,第三債務者:Bが勤務するC会社。
※代理人が申立てるときは,添付書類に委任状を追加して,当事者目録の記載に代理人の表示を追加します。

1必要書類の収集
 ・執行力ある債務名義の正本
 ・債務名義の債務者への送達証明書
 ・C会社の資格証明書
 
2申立書の作成
 ・第三債務者に対しての陳述催告も,忘れずにします手(グー)
 ・当事者目録(←C会社の住所は本店の住所を記載しますが,給与支払の担当部署が別にある場合は,送達場所をその担当部署にします。)
 ・請求債権目録
 ・差押債権目録(←給与・賞与・退職金など,どのような順番で差し押さえるか記載します。ただし,差押禁止債権や立替金(通勤手当など)は除きます。)

3申立て7取立届の提出は,預金の差押えと同じです決定

例えば,今月の給与・賞与支払前に差押をした場合ひらめき
控除すべき税金や社会保険料等を控除した12月給与残額が20万円だとすると,差押えできる金額は,その4分の1の5万円有料
控除すべき税金や社会保険料等を控除した12月賞与残額が30万円だとすると,差押えできる金額は,その4分の1の7万5千円有料

この12月は,合計12万5千円差し押さえができることになります手(パー)

来月1月以降に,残り87万5千円(請求債権金額100万円−今月回収金額12万5千円)の差押が継続的にされていくことになりますグッド(上向き矢印)

かわいいただし,債務者が退職されると,差押えるべき給与支払請求権もなくなり,回収はできなくなります。(退職金があれば,退職後に退職金の差押えはできます。)

このように,全額回収できるに越したことはないですが,差押債権がなかったり少なかったり,差押が競合したり・・・とイレギュラーなことも多いのですたらーっ(汗)

差押が競合した場合のおハナシは,中級編にてるんるん
posted by テッキー at 15:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(初級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月27日

不動産執行【強制競売】

強制競売(きょうせいけいばい)は,金銭執行直接執行の強制執行で,差押える債務者の財産は,債務者の不動産家です手(パー)

晴れ今回は,強制競売の流れを確認しましょうグッド(上向き矢印)

1申立
 ・不動産家の所在地を管轄する裁判所ビル(執行裁判所)に申立てます。

2競売開始決定
 ・執行裁判所ビルが開始決定をし,裁判所書記官は管轄の法務局に対して,目的不動産に「差押」の登記を嘱託します。→こうして,不動産が差押えられます。
 ・配当要求の終期が決定し,債権者には債権届出の催告がなされます。

3現況調査・評価
 ・執行官が,目的不動産の形状や占有状況などを調査します。⇒現況調査報告書
 ・評価人(選任された不動産鑑定士)が,目的不動産の評価額について調査をします。⇒不動産評価書
 
4売却基準価格の決定
 ・執行裁判所が,評価人の評価に基づいて決定します。
 ※売却基準価額から10分の2に相当する額を控除した価額が,『買受可能価額(この価格以上が適法な入札価格)』になりますかわいい

5物件明細書作成
 ・執行裁判所が,買受人が引き受ける権利等(売却条件)を調査して作成します。
ひらめき物件明細書」・「現況調査報告書」・「評価書」(いわゆる3点セット)は所定の場所に据え置かれて,物件情報が提供されます。

6売却の実施
 ・開札期日に,入札された中から落札者が決まります。
 ・競落人が売却代金を納付し有料,目的不動産の所有権は競落人に移転します。(登記は,裁判所が法務局に嘱託して行います。)

7配当手続
 ・執行裁判所は,競落人が納付した売却代金を,各債権者に分配します決定
posted by テッキー at 18:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(初級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月01日

債権執行【供託金の差押え】

債務名義をとる際の訴訟で,第一審判決が出た後,控訴に伴う強制執行停止の決定を受けるために,担保を積むことがあります手(パー)
この担保金は,通常,供託されます。

今回は,預金の差押えと同じ事例で,債務者が供託した担保金(供託金)を差し押さえてみましょう晴れ

【事例】 『債権者(自然人)は,債務者(自然人)に対して,「100万円を支払え!」という確定判決(債務名義)を取得したが,Bは全く支払いをしない。』という場合ひらめき
※第三債務者:国(Bが供託した供託所の供託官)。
※代理人が申立てるときは,添付書類に委任状を追加して,当事者目録の記載に代理人の表示を追加します。

1必要書類の収集
  ・国(第三債務者)の資格証明は必要ありません。
  ・必要書類ではありませんが,供託書のコピーを入手して,申立書に正確な供託番号・供託年月日・供託金額を記載できるようにしましょうグッド(上向き矢印)申立書に添付すると,裁判所もチェックしやすくなります。
 
2申立書の作成
 ・第三債務者に対しての陳述催告も,忘れずにします手(グー)
 ・当事者目録(←国(第三債務者)の住所は記載不要です。「国」との記載とともに供託官の名前を記載します。送達場所は,該当の供託所の住所を記載します。)
 ・請求債権目録
 ・差押債権目録(←債務者が供託した関連の事件の表示,供託番号・供託年月日・供託金額を記載します。)

3申立て7取立届の提出は,預金の差押えと同じです決定

かわいいこの場合,債務者の「取戻請求権」を差押えますが,「被供託者の還付請求権」が残っている限り取り立てることはできませんexclamation
  そこで,差押えができたら,担保取消をして,「還付請求権」を消滅させた上で,取立をしまするんるん

かわいいしかしexclamation通常は,取立ではなく,転付命令も同時に申立てて,差押債権を転付させた上で,転付命令確定による担保取消をして,供託金は払渡される・・という流れになるでしょう決定

具体的には,後日,中級編でおハナシしまするんるん
posted by テッキー at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(初級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月15日

債権執行【賃料の差押え】

今回は,預金の差押えと同じ事例で,債務者の賃料収入を差し押さえてみましょう晴れ

【事例】 『債権者(自然人)は,債務者(自然人)に対して,「100万円を支払え!」という確定判決(債務名義)を取得したが,債務者は全く支払いをしない。』という場合ひらめき
※第三債務者:賃借人(債務者が賃貸している家の借主)。
※代理人が申立てるときは,添付書類に委任状を追加して,当事者目録の記載に代理人の表示を追加します。

1必要書類の収集
 ・執行力ある債務名義の正本
 ・債務名義の債務者への送達証明書
 ・賃借人が法人の場合は,資格証明書が必要です。
 
2申立書の作成
 ・第三債務者に対しての陳述催告も,忘れずにします手(グー)
 ・当事者目録
 ・請求債権目録
 ・差押債権目録(←差し押さえる賃料の物件を部屋番号まで特定します。ただし,管理費・共益費は除きます。)

3申立て7取立届の提出は,預金の差押えと同じです決定
posted by テッキー at 16:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(初級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月17日

債権執行【保険の解約返戻金の差押え】

今回は,預金の差押えと同じ事例で,債務者の生命保険の解約返戻金請求権を差し押さえてみましょう晴れ

【事例】 『債権者(自然人)は,債務者(自然人)に対して,「100万円を支払え!」という確定判決(債務名義)を取得したが,債務者は全く支払いをしない。』という場合ひらめき
※第三債務者:生命保険会社
※代理人が申立てるときは,添付書類に委任状を追加して,当事者目録の記載に代理人の表示を追加します。

1必要書類の収集
 ・執行力ある債務名義の正本
 ・債務名義の債務者への送達証明書
 ・第三債務者(生命保険会社)の資格証明書
 
2申立書の作成
 ・第三債務者に対しての陳述催告も,忘れずにします手(グー)
 ・当事者目録
 ・請求債権目録
 ・差押債権目録(←債務者が契約者(解約返戻金の受取人)の保険で,保険証券番号を特定して記載しなければなりませんexclamationただし,23条照会をしたにもかかわらず,第三債務者が回答を拒否した場合は例外の取扱とした判例があります。)

3申立て7取立届の提出は,預金の差押えと同じです決定

なお,6取立ての際には,取立権を有する債権者は,債務者の代わりに解約権を行使して取立てをすることになりますかわいい
posted by テッキー at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(初級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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