2011年12月15日

月給制の事例T

月給制の残業代を計算する場合には,まず月給を時間給に換算しなければなりません。
時間給は,「月額給与÷月平均所定労働時間」という方法で求めます。

@まず月額給与を求めますが,残業代計算においては,以下の手当を除いた金額を月額給与として計算します。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

A次に,月平均所定労働時間は以下の順序で求めます。
・1年間の労働日数を求める
=365日(閏年は366日)―1年間の休日の合計日数
     ↓
・年間の所定労働時間数を求める
=1年間の労働日数×1日の所定労働時間数
     ↓
・1ヶ月の所定労働時間数を計算
=年間の所定労働時間数÷12(ヶ月)

@とAが算出できたら,@(月額給与)÷A(月平均所定労働時間)=時間給を求めることができます。

次回は,具体的な例を挙げて実際に時間給を計算してみます。
posted by テッキー at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月19日

月給制の事例U

今回は,月給制の時間給について実例を挙げて求めてみます。

・基本給20万円,通勤手当1万円,役職手当2万円
・9:00〜17:00(休憩1時間)実働7時間
・休日→土日祝,お盆,年末年始

上記のような労働条件の場合,「月額給与÷月平均所定労働時間」の式をもとに月給を時間給に換算してみましょう。

まず基準となる月額給与は,基本給+役職手当=22万円(月額給与)です。

次に月平均所定労働時間を求めるために,1年間の労働日数を計算します。
これはその年によって異なりますので,少し面倒ですが就業規則に従って休日を数えましょう。
ここでは仮に,
365日―124日(年間休日)=241日(1年間の労働日数)
とします。

次に,1年間の所定労働時間数について求めると,
241日(1年間の労働日数)×7時間(1日の所定労働時間数)=1,687時間(1年間の所定労働時間数)

これを12ヶ月で割ると,
1,687時間(1年間の所定労働時間数)÷12ヶ月=140.583333時間(月平均所定労働時間数)
となり,端数は切り捨てもしくはそのまま処理します(労働者の不利にならないよう,切り上げはできません)。

ここでは切り捨てをするとして,140時間(月平均所定労働時間)となり,

22万円(月額給与)÷140時間(月平均所定労働時間)=1571.428571円(時間給)

50銭未満の端数は切り捨て,それ以上を1円に切り上げますので1,571円時間給ということになります。
あとの計算は,基礎編初級編でお話した通りです。
posted by テッキー at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月21日

日給制の事例

日給を時間給に換算するには,「日給÷1日の所定労働時間」という式で求めます。
日給が8,000円で1日の所定労働時間が8時間であれば,時給は1,000円ということです。

ただし日給制の場合は,日ごとに労働時間が異なることも多くあります。
その場合は,「日給÷1週間における1日平均所定労働時間」という形で計算します。

例えば,以下のような労働条件とします。
・日給1万円
・月・水・金→8時間労働,火・木・土→4時間労働
・休日→日曜日

これを時間給に換算すると,

1万円(日給)÷{36時間(1週間の所定労働時間計)÷6日(1週間の所定労働日数計)}=1666.6→1,667円ということになります。
posted by テッキー at 10:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月26日

年俸制の事例

年俸制を時給に換算するには,「(年俸÷12ヶ月)÷月平均所定労働時間」で計算します。

年俸300万円で月平均所定労働時間が160時間であれば,
(300万円÷12ヶ月)÷160時間=1562.5円,つまり1,563円です。

賞与がない場合は何も考えずにこのような計算でいいのですが,注意すべきは,賞与がある場合の「月額給与(年俸÷12ヶ月)」の考え方です。
例えば年俸を12ヶ月ではなく16で割り,12ヶ月分は毎月払い・4ヶ月分は賞与として支払われている場合。
このような場合でも月額の金額(つまり年俸の1/16)ではなく,年俸の1/12を月額給与として計算しなくてはなりません。

ためしに上記の例を16ヶ月で計算してみると,
300万円÷16ヶ月÷160時間=1171.875円=1,172円

このように,12ヶ月で計算した場合と大きく金額が違ってきますので注意しましょう。
posted by テッキー at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月28日

就業規則・休日等が明確に決まっていない事例T

会社によっては就業規則がなかったり(従業員10名以下は作成義務ナシ),休日が明確に決まっていないことがあります。
例えば以下の労働条件ではどのように考えればいいでしょうか。

・月〜金→9:00〜17:30(休憩1時間)実働7.5時間
・土→9:00〜13:00(休憩ナシ)実働4時間
・休日→土曜日隔週,日祝,お盆,年末年始

この規定で1週間働くと,(7.5時間×5日)+(4時間×1日)=41.5時間となり,必ず2週間に1回は週40時間を超えることになります。
ですから,40時間を超えた1.5時間は法定時間外労働として,25%割増の残業代が請求できます。
(ただし,変形労働時間制の場合を除きます。)

また休日について,就業規則などで「所定休日」と「法定休日」を明示していない場合があります。
例えば上記の労働条件で,土曜日出勤の週に,日曜日も出勤したとすると,週の1日は法定休日としなければならないので,日曜日の出勤は法定休日労働(35%割増)となります。これは簡単ですね。

では,土曜日が休みの週に,日曜出勤したらどうでしょう。
もしも「法定休日は日曜日とする」という規定があれば,土曜日規定通り休んでいても,日曜日の出勤は35%割増の残業代を支払ってもらえることになります。
しかし法定休日の明示がなければ,週に1日土曜日は休んでいるので,その日を法定休日として考え,日曜日は法定休日割増35%ではなく法定時間外割増25%の残業代ということになります。
posted by テッキー at 14:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月05日

就業規則・休日が明確に決まっていない事例U-@

今回は,休日も労働時間もはっきり決まっていない事例を説明します。
例えば以下の条件のみ決まっているとします。
・基本給21万円,管理手当2万円
・週1日は休日(曜日は不定)

この場合に1週間以下の労働をしたとして考えてみましょう。
※()内は実労働時間です。

日→9:00〜21:00(11H)
月→9:00〜22:00(12H)
火→9:30〜23:00(12.5H)
水→8:00〜15:00(6H)
木→9:00〜20:00(10H)
金→8:30〜21:00(11.5H)
土→9:30〜17:00(6.5H)

まず一日の所定労働時間が決まっていないので,労働基準法に基づき一日8時間とします。
次に実労働時間です。
実際に取った休憩時間が分かれば(タイムカードなど)その通り計算すればいいのですが,ここでは毎日1時間の休憩を取っていたと仮定します。
また,週1日の休日を取っていないので,週の最終日である土曜日を法定休日として計算します。
さらに,1週間の労働時間から一日8時間を超える残業を控除した労働時間が週40時間を超える分は,別途時間外労働として計上します。
そうして残業代の種類別に時間外労働時間を算出すると,

日→時間外労働3時間
月→時間外労働4時間
火→時間外労働3.5時間,深夜労働1時間
水→ナシ
木→時間外労働2時間
金→時間外労働3.5時間
土→休日労働6.5時間

これをまとめると,時間外労働16時間,深夜労働1時間,休日労働6.5時間。
また,総労働時間69.5時間―(時間外労働16時間+深夜労働1時間+休日労働6.5時間)=46時間で,週40時間を超える労働は6時間となります。
次回は,この続き(月給を時給に換算するところ)から説明します。
posted by テッキー at 11:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月10日

就業規則・休日が明確に決まっていない事例U-A

前回の続きで,今回は月給を時給に換算するところからお話します。
決まっている条件は,以下の通りでした。
・基本給21万円,管理手当2万円
・週1日は休日(曜日は不定)

時給に換算する計算式は「月額給与÷月平均所定労働時間」です。
まず月額給与は,管理手当も含みますので23万円となります。

次に月平均所定労働時間を計算しますが,今回の例は所定労働時間の定めがなく,実際の労働時間が労働基準法の定めを超えることは明らかです。
ですからこの場合は,1週間40時間,1日8時間,1年につき52週+1日の労働であるとして,
40時間×52週間 + 8時間×1日=2,088時間を1年の労働時間とします。
これを12ヶ月で割って,174時間が月平均所定労働時間となります。

よって23万円(月額給与)÷174時間(月平均所定労働時間)=1,322円が時給となります。


これで前回の時間外労働の例1週間分を計算すると,

1,322円×1.25(法定外労働)×16時間
      +
1,322円×1.5(法定外・深夜労働)×1時間
      +
1,322円×1.35(法定外休日労働)×6.5時間
      +
1,322円×1.25(週40時間を超える法定外労働)×6時間

これをまとめて

26,440円(法定外労働)+1,983円(法定外・深夜労働)+11,601円(法定外休日労働)+9,915円(週40時間を超える法定外労働)=49,939円が残業代ということになります。
posted by テッキー at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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