強制執行のうち,債務者が「他人」に対して持っている「債権」を差押えようとするのが,
債権執行です

このときの「他人」を,
第三債務者といいます

このときの「債権」を,
差押債権といいます


申立書の『当事者目録』には,債権者・債務者のほかに,第三債務者も記載します。第三債務者が法人の場合,資格証明の添付が必要にです。

申立書の別紙として,『差押債権目録』も作成します。差押債権が何種類かある場合(例えば預金の場合は,定期預金・当座預金・普通預金・外貨預金など)は,優先順位を記載します。
それでは,
差押債権の例をいくつか見てみましょう

(債権には,電話加入権や特許権などもありますが,ここでは金銭債権を挙げます。)

債務者の銀行預金を差押える場合。・・・第三債務者:銀行(本店の住所),差押債権:預金払出請求権
⇒第三債務者の送達先として,当該預金の支店の所在地も記載します。

債務者の給与・賞与・退職金を差押える場合。・・・第三債務者:勤務先(本店の住所),差押債権:給与・賞与・退職金請求権

債務者が毎月受け取っている賃料を差押える場合。・・・第三債務者:賃借人,差押債権:賃料請求権

債務者が物を売った代金を差押える場合。・・・第三債務者:買主(または支払を請け負った人),差押債権:売買代金請求権

債務者の生命保険の解約返戻金を差押える場合。・・・第三債務者:生命保険会社,差押債権:解約返戻金支払請求権
⇒生命保険の解約返戻金支払請求権を差押えた債権者は,この保険契約の解約権を行使して取り立てることができます。

債務者が交通事故に遭ったことによる加害者への損害賠償請求権を差押える場合。・・・第三債務者:加害者,差押債権:損害賠償請求権
など,差押債権はイロイロあります