民事保全には,
民事保全のハナシのとおり,
簡易迅速性
付随性
密行性
担保の提供をしなければならない,という特徴があります。
もう少し,詳しく見てみましょう

簡易迅速性(緊急性)・・・民事保全手続は,債権者の権利の実現を図るためには,通常の手続(債務名義をとって強制執行するという手続)をとっている余裕はないという緊急な場合に行います。債権者は,自己の権利が正当であることを「
証明」ではなく簡易に主張できる「
疎明」することで足り,通常は,債務者の主張も聞かないまま手続が進められます

付随性・・・民事保全手続は,債権者の権利を
仮に認めた上での手続なので,この権利を確定するために,本案訴訟での判断が必要になります。なので,民事保全手続後に,いつまで経っても債権者が本案の訴訟提起をしない場合は,債務者は本案の訴訟提起を一定期間内にするよう求めることができ(起訴命令),それでも本案提起がなされないと,保全取消の事由に該当することになります

密行性・・・民事保全手続は,債権者の権利の保全を図るための手続なので,債務者に事前に知られてしまうことで財産等を隠匿されないよう,密かに行われます

(ただし,仮の地位を定める仮処分の場合などは,債務者の審尋などを行うこともあり,該当しない場合があります。)
担保の提供をしなければならない・・・必ずしも担保の提供が必要になるとは限りませんが,民事保全手続は,通常,債権者の主張のみで手続が進められるため,債権者の主張していた権利が後の本案で認められなかった場合など,民事保全手続をなされたことで債務者に不測の損害を与えることがあるかもしれません。その時のために,最初から保証をしておくのです

担保を立てる方法としては,
供託と
支払保証委託契約の2つがあります