ですから,年次有給休暇の翌年度までの繰り越しは認められますが,2年経過すると時効により消滅してしまいます。
年次有給休暇使用の順番として,前年度の繰り越し分と当年度の分がある場合は,労働者としては時効にかかりそうな年次有給休暇から使いたいはずですので,本人から特に申出がなくても,使用者は古い年次有給休暇から消化するよう取り扱うのが通常です。
また,結果的に取得できず失効してしまう年次有給休暇がある場合には,使用者が労働者に対して,失効する年次有給休暇に応じて手当を支給するのは違法ではありません(ただし,年度の最初に年次有給休暇を買い取り,休暇日数を減らすことなどということは許されません)。
最後に,退職時に年次有給休暇が残っている場合ですが,労働者が残っている年次有給休暇を退職日までの勤務日に充てたいと言えば,使用者はそれに応じる必要があります。
しかし,引き継ぎなどの期間も必要ですので,使用者と労働者とが相談の上,退職日を調整する,もしくは消化しきれない年次有給休暇については買い取りをする,といった対応をするのが望ましいと言えます。