2012年01月13日

債権執行【差押禁止債権】

債権差押の場合,債務者のどんな債権でも全て差押ができるというわけではありませんexclamation×2
債務者が最低限度の生活を営むことができなくなるようなことは禁止されているのですひらめき

以下,禁止されているものの例を挙げます手(パー)

かわいい私的年金の4分の3の金額。ただし,この金額が月額33万円を超える場合は,33万円。
かわいい給料・賞与の4分の3の金額。ただし,この金額が月額33万円を超える場合は,33万円。
(※給料等の金額 ⇒ 通勤手当などの立替金,税金,社会保険料などを控除した金額です。)
かわいい退職金の4分の3の金額。
かわいい生活保護の給付債権,国民年金・厚生年金の給付債権,失業手当の給付債権の全額。
かわいい債務者の一身に専属する債権・・・扶養請求権,財産分与請求権,遺留分減殺請求権など。


位置情報請求債権が100万円あり,今年1月分からの給与(月給)と賞与を差押える場合について,考えてみましょうグッド(上向き矢印)

【事例1】通勤手当・税金・社会保険料などを控除した給与が毎月20万円(定額),6月に30万円,12月に30万円の賞与(税金等控除済み)があった債務者の給与・賞与を差押える場合。

・給与・・・20万円の4分の3のは15万円で,この15万円が差押禁止債権です。⇒債権者が差押えることができるのは,5万円/月です。
・賞与・・・30万円の4分の3は22.5万円で,この22.5万円が差押禁止債権です。⇒債権者が差押えることができるのは,7.5万円/回です。

今年1月分給与〜翌年5月分給与(17月分)で,85万円,今年6月・12月の賞与で15万円回収し,無事100万円全額回収できます決定



【事例2】通勤手当・税金・社会保険料などを控除した給与が毎月50万円(定額)の債務者の給与を差押える場合。

・給与・・・50万円の4分の3のは37.5万円ですが,33万円を超えているので,33万円が差押禁止債権です。⇒債権者が差押えることができるのは,17万円/月です。

今年1月分給与〜6月分給与(6月分)で,無事100万円全額回収できます決定
※最終の6月分給与の回収額は,15万円となります。
posted by テッキー at 16:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月12日

変形労働時間制の事例

変形労働時間制とは,原則である1日8時間,週40時間の規制を適用せず,ある一定期間(1週間,1ヶ月,1年)を平均した所定労働時間が週40時間以内であればよいとする制度のことです。

例えば1週間の実労働時間が以下の通りだったとします。

日→8時間
月→10時間
火→休み
水→10時間
木→7時間
金→5時間
土→休み

1日8時間を超える労働の日もありますが,週の合計は40時間ですので,変形労働時間制を適用していれば時間外労働は発生しません(ただし1週間単位の場合,1日の労働時間は10時間までです)。
また,1週間単位の変形労働時間は,従業員30人未満の会社に限られ,小売業・旅館・飲食店などの業種のみとされています。


次は,1ヶ月単位の変形労働時間制を見てみましょう。

第1週→45時間
第2週→30時間
第3週→42時間
第4週→43時間

これも1週間で40時間を超える週がありますが,合計160時間で週平均40時間となっていますので問題ありません。
ただし,1日8時間を超える日,1週40時間を超える週はを就業規則等で特定しておかなければなりません。

最後に,1年単位の変形労働時間制についてですが,1週間・1ヶ月単位に比べて細かく規定されていますので,その点について以下にまとめておきます。
・1日の労働は10時間まで(1週間単位の場合も同じ)
・1週間の労働は52時間まで
・週48時間を超える週は,連続して3週間以内
・週48時間を超える週は,3ヶ月毎に3週以内

また,変形労働時間制を適用するには,労使協定を締結して労働基準監督署へ届出をする必要があります。
posted by テッキー at 11:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(上級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月11日

債権執行【第三債務者の陳述の催告】

債権執行の申立をして差押命令が出たとしても,債権者の最大の関心である実際に差押ができたのか,第三債務者から取立できるのかについては,債権者はわかりませんたらーっ(汗)

そこでひらめき差押債権者が第三債務者に問い合わせることができる『第三債務者の陳述の催告』の制度がありまするんるん

第三債務者陳述の催告
は,裁判所が差押命令を第三債務者に送達する際に一緒に行うものなので,差押債権者は,陳述催告の申立をそれまでにしなければなりませんexclamation(通常は,債権差押命令申立書に記載する形で,申立と同時に行います。)
書式では,「第三債務者に対し,陳述催告の申立て(民事執行法第147条1項)をする。」の□にチェックを入れますペン

第三債務者陳述の催告があると,第三債務者は,差押命令の送達の日から2週間以内に,「陳述書」で回答をしなければなりません手(グー)
(通常は,裁判所から届く差押命令に陳述書が同封されています。)

ひらめき第三債務者が「陳述書」で回答する内容は,以下のとおりです決定
・差押債権が存在するかどうか。存在する場合は,その種類および金額。
・弁済の意思があるかどうか。弁済する場合はその範囲。弁済しない場合はその理由。⇒差押が競合している場合は「弁済の意思はない。」となり,「差押が競合しているため。」という理由になります。
・差押債権者に優先する者がいる場合,その者の氏名・住所・その権利の種類と優先する範囲。
・差押が競合している場合,その差押命令・仮差押命令などの事件の表示,競合差押等債権者の氏名・住所・送達の年月日・その執行範囲。
・滞納処分による差押がある場合,その差押をしている庁や事務所の名称・所在・送達の年月日・その差押の範囲。

もし,第三債務者が陳述をしなかったり虚偽の陳述をしたりするなどして,差押債権者に損害を与えた場合は,その損害を賠償しなければならなくなりますので,差押命令を第三債務者の立場で受け取った場合は気をつけましょうかわいい
posted by テッキー at 14:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 強制執行(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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