2012年01月18日

変形労働時間制の事例【時間外労働の算出方法U】

前回の続きからお話します。
@1日ごとの時間外労働,A1週間ごとの時間外労働をカウントしましたので,最後は,

B変形期間を通じて時間外労働になる時間をカウントします(1週間単位の変形労働時間の場合は前回やり方Aまでで終了です)。
つまり,変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間です(@,Aで時間外労働とされた時間は除く)。

変形期間における法定労働時間の総枠の算出方法は,
「40時間×変形期間の歴日数÷7日」です。
例えば,変形期間1ヶ月(30日)=171時間25分(171.42時間)
     変形期間1ヶ月(31日)=177時間8分(177.14時間)
     変形期間1年(365日)=2,085時間42分(2,085.71時間)

1日及び1週間ごとの時間外労働に該当しなくても,上記のようなそれぞれの法定労働時間を超えれば,それは時間外労働として計算しなければなりません。
ですから,@1日ごとの時間外労働+A1週間ごとの時間外労働+B変形期間を通じた法定労働時間を超える時間外労働=変形労働時間制における時間外労働数ということになります。
posted by テッキー at 10:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(上級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月17日

債権執行【扶養義務等の場合の特例】

債務者の給料など,継続的に給付される債権を差し押さえる場合(差押債権が給与などの場合),債務者が将来受け取る給与等にも差押の効力は及びます決定(上限は,差押債権目録に記載した金額まで。)

一方,
債権者が債務者に対して請求する請求債権は,支払期限が過ぎた未払い分についてのみで,支払期限が到達していない債権については,差押えはできません手(パー)

例えば,
家賃貸借契約(賃料:5万円/月,支払期限:前月末日,執行証書(債務名義)あり。)で,債務者(賃借人)が去年の10月末支払期限分〜12月末支払期限分の3ヶ月分(15万円)を未払いにしているので,債務者の給与を差押えようとした場合,未払いの15万円については差押えすることができますが,期限が到来していない今月(1月)末日支払期限分以降の家賃も一緒に差押えることはできませんexclamation
※差押をするのであれば,今月(1月)末の支払いがされなかった場合に,その未払い分について,新しく債権執行の申立をしなければなりません。

しかしひらめき以下の4つの場合(債権者の生活維持に必要なもの)については,特例で,支払期限が来ていない債権についても,債務者の将来の給与等を差押えすることができます晴れ
(ただし,一部に不履行がある場合です。未払い分が全く無いときには,強制執行自体ができません。)
1.夫婦間の協力及び扶助の義務
2.婚姻から生ずる費用の分担の義務
3.子の監護に関する義務
4.扶養の義務

また,差押禁止債権の範囲も,以下のように緩和されまするんるん
かわいい私的年金の2分の1(通常は4分の3)の金額。ただし,この金額が月額33万円を超える場合は,33万円。
かわいい給料・賞与の2分の1(通常は4分の3)の金額。ただし,この金額が月額33万円を超える場合は,33万円。
(※給料等の金額 ⇒ 通勤手当などの立替金,税金,社会保険料などを控除した金額です。)
かわいい退職金の2分の1(通常は4分の3)の金額。


上の家賃家の例を,養育費に置き換えてみましょうぴかぴか(新しい)
未成年の子の養育費(5万円/月,支払期限:毎月末,執行証書(債務名義)あり。)で,債務者が去年の10月末支払期限分〜12月末支払期限分の3ヶ月分(15万円)を未払いにしているので,債務者の給与を差押えようとした場合,1回の債権執行申立で,未払いの15万円と一緒に今月(1月)末日支払期限分以降の養育費も差押えることができますグッド(上向き矢印)

具体的には,債務者の給与(20万円(税金等控除済み),毎月20日に支給)を差押えた場合,
1月20日の給与 → 10万円(未払い分の一部)差押え。
2月20日の給与 → 10万円(未払い分の残り5万円と1月末支払期限分として)差押え。
3月20日の給与 → 5万円(2月末支払期限分として)差押え。
・・・・となります決定

かわいいまだ支払期限のきていない3月分の養育費について,3月20日の給与を差押えることはできませんので,3月20日の給与の差押金額は5万円となります手(パー)

posted by テッキー at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(基礎編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月16日

変形労働時間制の事例【時間外労働の算出方法T】

変形労働時間制でも時間外労働は発生します。
今日は,変形労働時間制の時間外労働の算出方法についてお話します。

@まず,1日ごとの時間外労働になる時間をカウントします。これは,所定労働時間を超え,かつ,法定時間(8時間)を超える時間の合計です。
(ア)所定労働時間が8時間を超える日の場合は,その所定労働時間を超えて労働した時間
※例えば1日の所定労働時間が9時間の日に10時間働いた場合
  →10時間−9時間=1時間
(イ)所定労働時間が8時間より少ない日の場合は,1日8時間を超えて労働した時間
※例えば1日の所定労働時間が7時間の日に10時間働いた場合
  →10時間−8時間=2時間
(ウ)1日ごとの時間外労働になる時間数(ア+イ)
※上記の例では,ア(1時間)+イ(2時間)=3時間。これが1日ごとの時間外労働の時間数です。

A次に,1週間ごとの時間外労働になる時間をカウントします。これは,所定労働時間を超え,かつ,法定時間(40時間)を超える時間の合計です。
(ア)所定労働時間が週40時間を超える週は,その週所定労働時間を超えて労働した時間(ただし,@で1日ごとの時間外労働とされた時間は除く)
※例えば週所定労働時間が43時間の週に45時間働いた場合
  →45時間−43時間=2時間
  その中に1日ごとの時間外労働となる時間が1時間ある場合(@ア)
  →2時間−1時間=1時間
(イ)所定労働時間が週40時間より少ない週の場合は,週40時間を超えて労働した時間(ただし,@で1日ごとの時間外労働とされた時間は除く)
※例えば週所定労働時間が週39時間の週に43時間働いた場合
  →43時間−40時間=3時間
  その中に1日ごとの時間外労働となる時間が2時間ある場合(@イ)
  →3時間−2時間=1時間
(ウ)1週ごとの時間外労働になる時間数(ア+イ)
※上記の例では,ア(1時間)+イ(1時間)=2時間。これが1週間ごとの時間外労働の時間数です。

次回に続きます。
posted by テッキー at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(上級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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