労働者が事業場外で業務に従事するため,使用者の指揮監督が及ばず,その実労働時間を把握することが困難な場合に,「所定労働時間働いたもの」とみなす制度です。
具体的な職種としては,営業マンや新聞記者などが挙げられます。
また業務を遂行するために,通常所定労働時間を超えて労働することが必要になる場合は,「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」を定めた上で,そのみなし時間を働いたものとみなされます(この場合は「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」>「通常所定労働時間」です)。
その「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」が法定時間(8時間)を超える場合には,労使協定を締結が必要になるとともに,割増賃金の支払が発生します。
例えば,所定労働時間が7時間で,みなし時間(当該業務の遂行に通常必要とされる時間)が9時間とされていれば,法内残業1時間,法定外残業1時間の時間外労働ということになります。
すべての労働を事業場外で行う場合は上記の方法で構いませんが,業務によっては労働時間の一部を事業場内で,一部を事業場外で行うこともあります。
その場合は,「事業場内での実労働時間+事業場外でのみなし時間」となります(ただし,これを合わせた時間が所定労働時間におさまる場合は,所定労働時間を労働したものとみなされます)。
例えば,所定労働時間が9:00〜17:00(休憩1時間)の7時間で,事業場外労働に必要とされる時間(当該業務の遂行に通常必要とされる時間)が6時間とします。
8:00〜10:00は事業場内で労働し,10:00からに外勤に出て直帰したとすると,始業前の1時間+事業場内の1時間+みなし時間6時間=8時間の労働となり,法内残業が1時間発生することになります。