2011年12月22日

差押えの競合【転付命令で回避しよう!】

差押えの競合」のハナシでは,債務者Xに対して100万円の債権を持っているは,の財産を差押えたにもかかわらず,他の債権者と差押えが競合したために,50万円の配当金を受け取っただけでしたねたらーっ(汗)

としては,「私が最初にの財産を差押えたのだから,差押えた分については全額私のものにしたいexclamation×2」と思うでしょう。
転付命令を使うと,それが実現できますひらめき

前回と同じ,以下の事例で見ていきましょうグッド(上向き矢印)

債権者Aは,債務者Xに対して,100万円の金銭債権があり,債務名義も持っています。
債権者Bは,債務者Xに対して,200万円の金銭債権があり,債務名義も持っています。
も,の預金払出請求権を差押えようと,C銀行銀行第三債務者として債権差押命令の申立を行いました。
かわいいについては,債権差押命令の申立と同時に,転付命令の申立も行いましたひらめき

ある日,
C銀行に,分の預金の『差押及び転付命令』(100万円)が届きました。
その時のの預金残高は150万円でした有料
C銀行は,即座にが差押えた分(100万円)を凍結しましたぴかぴか(新しい)
陳述書では,差押のみの場合と同じく,「の預金は存在し,100万円支払う意思もあります。」と回答しました。

その次の日,
C銀行に,今度は分の預金の差押命令(200万円)が届きました。
その時のの預金残高は,昨日と同じく150万円だったので,C銀行は,昨日凍結した100万円の他に50万円も(合計150万円全額)凍結しましたexclamation
そして,陳述書にて「の預金は存在し,に支払う意思もありますが,この他に,が先に転付命令つきの差押を100万円しています。」と回答しました。

債務者が,の転付命令について,命令を受け取ってから1週間以内に執行抗告しなかったので,転付命令は確定しましたひらめき
の転付命令がC銀行に届いた日に遡って,券面額(100万円)がに転付され,から100万円の弁済を受けたことになりました決定

100万円の持ち主として,C銀行に対して払出請求を行い,全額回収できましたわーい(嬉しい顔)るんるん

一方,は,取立権が発生した後に,C銀行に対して取立を行いますが,金額は残った50万円のみしか回収できませんもうやだ〜(悲しい顔)

このように,転付命令は便利な制度ですが,以下のようなデメリットもあるので,注意しながら利用しましょうかわいい
位置情報転付命令が第三債務者に送達された時に,既に差押等の競合があるときは,転付命令の効力は生じません。
位置情報転付命令が確定すると,券面額で債務者から弁済を受けたことになりますので,第三債務者が無資力で支払えないとしても,債権者は債務者に対して,この分を請求することはできなくなります。
(事例の場合,が払出を受ける前にC銀行が破産してなくなってしまうと,が回収できなかった100万円について,再度に対して請求しようとしても,それはできないことになります。)
posted by テッキー at 11:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月21日

日給制の事例

日給を時間給に換算するには,「日給÷1日の所定労働時間」という式で求めます。
日給が8,000円で1日の所定労働時間が8時間であれば,時給は1,000円ということです。

ただし日給制の場合は,日ごとに労働時間が異なることも多くあります。
その場合は,「日給÷1週間における1日平均所定労働時間」という形で計算します。

例えば,以下のような労働条件とします。
・日給1万円
・月・水・金→8時間労働,火・木・土→4時間労働
・休日→日曜日

これを時間給に換算すると,

1万円(日給)÷{36時間(1週間の所定労働時間計)÷6日(1週間の所定労働日数計)}=1666.6→1,667円ということになります。
posted by テッキー at 10:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 残業代の計算(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月20日

差押えの競合

強制執行(初級編)の債権執行のハナシは,運良く差押えが競合しなかった場合や差押えが競合しても全額回収できた場合のハナシでした晴れ

では,差押えが競合して全額回収ができない場合は,どうなるのでしょうか・・・目

以下の事例で見ていきましょうグッド(上向き矢印)

債権者Aは,債務者Xに対して,100万円の金銭債権があり,債務名義も持っています。
債権者Bは,債務者Xに対して,200万円の金銭債権があり,債務名義も持っています。
も,の預金払出請求権を差押えようと,C銀行銀行第三債務者として債権差押命令の申立を行いました。

ある日,
C銀行に,分の預金の差押命令(100万円)が届きました。
その時のの預金残高は150万円でした有料
C銀行は,即座にが差押えた分(100万円)を凍結し,陳述書にて「の預金は存在し,100万円支払う意思もあります。」と回答しました。

その次の日,
C銀行に,今度は分の預金の差押命令(200万円)が届きました。
その時のの預金残高は,昨日と同じく150万円でした有料
C銀行は,即座にが差押えた分(残高が150万円しかないので,150万円)を凍結し,陳述書にて「の預金は存在しますが,(差押債権額100万円)との差押えが競合しているので,支払う意思はありません。」と回答しました。

そんなことが起こっていると知らないは,取立権が発生したので,差押えた100万円C銀行から取り立てようとC銀行に連絡しましたが,「と差押えが競合したので,支払えません。」と言われてしまいましたがく〜(落胆した顔)

C銀行は,AとBの差押債権の合計は300万円のところXの預金残高は150万円と,AとB両方に全額支払うには足りないので,凍結している預金残高150万円を供託しなければなりません義務供託exclamation

そこで,C銀行は,の預金残高150万円を供託し,裁判所ビル事情届(東京地裁の書式)を提出しました。
この供託によって,C銀行は,預金の返還義務を逃れますかわいい
には,差押命令に記載された請求債権の按分割合で,供託された150万円の「配当」を受けることになりますひらめき

事情届を受け取った裁判所ビルは,競合した債権者()に,「配当期日呼出状」を送付しますmail to
は,期日の請書・債権計算書を裁判所に提出しますグッド(上向き矢印)

配当期日に,は,裁判所から,配当金額の証明書を受け取ります手(パー)
※配当期日に出頭できないときは,証明書の受書を事前に裁判所に提出しておくと,期日後に証明書を送ってくれますmail to

は,供託所で,証明書を添付して供託金の払渡請求を行い,配当金を受け取りまするんるん

そして,気になるが受け取る配当金額は・・・・ひらめき
A: 50万円 【供託金150万円×Aの按分割合(Aの請求債権額100万円/AとBの請求債権額合計300万円)】
B:100万円 【供託金150万円×Bの按分割合(Bの請求債権額100万円/AとBの請求債権額合計300万円)】

となります決定
posted by テッキー at 11:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 強制執行(中級編) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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